日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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リンドウFT /TFL1遺伝子群の機能解析
*今村 智弘樋口 敦美中塚 貴司西原 昌宏高橋 秀行
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p. 0781

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抄録
リンドウは、宿根草であり、主に切り花として市場に流通している。リンドウは、初夏から晩秋にかけて開花する。リンドウ栽培において、天候による開花時期の不安定性や、特定品種の出荷期間が短いことなどが問題となっており、開花期調節技術の確立が求められている。しかし、リンドウの開花生理に関する学術的な研究は行なわれておらず、その機構は未だ明らかにされていない。我々は、リンドウの花成誘導機構を明らかにするため、まず花成に関連するFT /TFL1 遺伝子の単離を試みた。他の植物のFT/TFL1タンパク質のアミノ酸配列を基にしてDegenerate PCR法を行った結果、リンドウから、FTTFL1TSFのオルソログを1つずつ単離することができた。これら単離した遺伝子について、経時的な発現解析をリンドウの葉を用いて行った。その結果、花芽が誘導される時期においてFT遺伝子の発現量が顕著に上昇していることが明らかとなった。一方、TFL1TSF遺伝子は、FT遺伝子ほど大きな発現量の変動は見られなかった。この結果から、今回単離したFT遺伝子がリンドウの花成誘導に関与していることが示唆された。これら遺伝子についてさらなる解析を行うため、リンドウとシロイヌナズナに遺伝子を導入した過剰発現体を作製した。これら形質転換体の解析結果についても報告する予定である。
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© 2010 日本植物生理学会
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