日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ近縁種を用いたヒストン脱アセチル化による胚的形質抑制機構の共通性の検証
*島田 尚久針金谷 尚人鎌田 博
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p. 0783

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抄録
シロイヌナズナでは、胚発生から栄養成長相への移行期にクロマチンリモデリングによって胚的形質が抑制されることが明らかにされている。我々はシロイヌナズナの種子にヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるTrichostatin A(TSA)を処理すると種子発芽後も胚発生関連因子の発現が継続し発芽実生に不定胚が形成されることをこれまでに報告した。そこでTSA処理による不定胚誘導が他の植物種においても見られるかを検討した。
まず、シロイヌナズナへのTSA処理により得られた不定胚からの個体再生を試みた。得られた不定胚をB5培地上で培養すると、正常に成育し種子が得られた。また、この種子は正常発芽し次世代が得られた。次に、TSA処理による不定胚誘導の汎用性を検証するため、シロイヌナズナの近縁種Olimarabidopsis pumila, Capsella bursa-pastris, Arabidopsis griffithianaを用いて実験を行った。その結果、シロイヌナズナと同じTSA処理によりC. bursa-pastrisでは不定胚が誘導されたがA. griffithianaO. pumilaでは誘導されなかった。現在、A. griffithianaO. pumila における最適TSA処理濃度と処理期間の検討、及び各近縁種におけるTSA処理後の胚発生関連因子の発現解析を行っている。
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© 2010 日本植物生理学会
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