日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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トマトの子房から果実への移行期における細胞壁多糖分布
*寺尾 梓古川 純佐藤 忍岩井 宏暁
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p. 0803

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抄録
被子植物は受粉・受精を介して胚珠を種子へと発達させ、それに伴い子房は果実へと成長する。なかでもトマト果実は子房から果実への移行期において、子室組織等の異なる様々な組織を含む非常に複雑な内部構造を形成し、その後果皮の軟化を伴いながら成熟する。こういった果実発達過程に細胞壁多糖が深く関係していることは知られているが、子房から果実への移行期におけるこれらの分布に関する知見は乏しい。よって本研究では、子房から果実への移行期における細胞壁多糖類分布の変化や動態を、果実全組織で可視化することを試みた。移行期の果実全組織を含んだ切片を作成し、それらを細胞壁多糖を認識する組織染色試薬及びモノクローナル抗体を用いて多糖類分布を確認した。1、5、10DPA (days post anthesis) の発達期間では胚珠内部組織にメチルエステル化されたペクチンが、種皮となる外部組織では脱メチルエステル化ペクチンが増加している傾向が確認された。またこの期間で果実内部に含まれる子室組織の発達が確認されたが、胚珠と最も隣接したこの組織には脱メチルエステル化ペクチンが多く含まれていることが確認された。そして子室組織と隣接する内果皮では、発達初期に多量存在していた脱メチルエステル化ペクチンが10DPAには減少していた。
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© 2010 日本植物生理学会
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