日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ子葉特異的葉緑体形成因子CYO1の酵素学的解析
*村中 厚子坂本 敦島田 裕士
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p. 0833

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抄録
現在までに子葉のみまたは本葉のみが白化する変異体が報告されていることから、子葉と本葉はその組織の形成過程だけでなく、葉緑体の形成過程も異なることが示唆されてきた。子葉のみがアルビノになるシロイヌナズナ変異体cyo1において、CYO1タンパク質は187アミノ酸からなり、C末端側109アミノ酸が大腸菌シャペロンタンパク質DnaJの酸化還元活性に関与するZn-finger motifと相同性を持つこと、インシュリンを基質としたジスルフィド結合の還元活性を有することなどが明らかになっている。これらの事より、CYO1タンパク質はDnaJタンパク質同様、Protein-disulfide isomerase(PDI)活性を持つことが示されている。本研究では、子葉特異的な葉緑体形成機構を明らかにすることを目的とし、CYO1のPDI活性について酵素学的な解析を行った。インシュリンを基質とした時のCYO1の酵素反応の至適温度は40℃、至適pHは6.7付近であった。また基質濃度と反応初速度の関係を示すグラフがシグモイド型であったことから、CYO1はアロステリック酵素であることが示唆された。現在、CYO1のPDI活性に関わるとされる7つのCysについてポイントミューテーションを用いてインシュリン還元活性を測定しており、その結果についても報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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