日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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植物のNMD mRNA監視機構:直接の標的mRNAと種子サイズ制御
*村田 久典赤堀 真耶用稲 真人石黒 澄衞中村 研三
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p. 0859

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抄録
NMD (Nonsense-mediated mRNA Decay)は、タンパク質コード領域にナンセンスコドン (PTC; Premature Termination Codon) を生じた異常mRNAの分解や、種々の特徴を持つ正常mRNAの翻訳とリンクした転写後制御に関わる真核生物に保存されたmRNA監視機構である。シロイヌナズナのNMD主要因子のAtUPF1 やAtUPF2 の欠損は致死となり、AtUPF1のlba1ミスセンス変異株は糖応答性遺伝子発現、成長、花成、発芽などに多面的な表現型を示す。野生型株に比べてlba1atupf3-1の両方で量が増加した推定NMD標的mRNAには、選択スプライシングで生じるPTC+-RNA や5’-UTR 中の短いuORFを含むmRNAが濃縮された。このうち、基本転写因子TFIIIA遺伝子の選択スプライシングで生じるPTC+-RNAとbHLH型転写因子SAC51のuORFを含むmRNAは、翻訳に依存した分解を受け、その分解速度は野生型株に比べてNMD 変異株で低下したことからNMDの直接の標的と考えられた。lba1atupf3-1は野生型株と比べて長軸方向に長く重い種子をつけ、それはNMD変異株では雌しべ形成過程で隔壁に形成される胚珠原基の間隔が野生型株よりも長いためであった。胚珠原基発生間隔制御に関わるNMD標的遺伝子を探索している。
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© 2010 日本植物生理学会
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