日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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カマレキシン生合成を制御する新規転写調節因子の機能解析
*嵯峨 寛久木原 洋輔鈴木 秀幸柴田 大輔太田 大策
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p. 0867

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抄録
シロイヌナズナの主要なファイトアレキシンであるカマレキシンの生合成は細菌や菌類などの病原体感染,あるいは硝酸銀処理やUV-B照射などの非生物的な刺激よって誘導される.カマレキシン生合成に関与する代謝酵素の遺伝子発現は病原体感染や硝酸銀処理によって顕著に誘導されるが,カマレキシン生合成の全反応経路は未解明であり,その制御機構も多くが不明である.
本研究では,カマレキシン生合成を制御する新規の転写調節因子を同定し,その転写調節因子により制御される新規のカマレキシン生合成経路遺伝子を特定することによって,カマレキシン産生機構を解明することを目的とした.
網羅的遺伝子解析によりカマレキシン生合成誘導時に顕著に発現誘導される21種の転写調節因子遺伝子を明らかにした.それらの遺伝子のT-DNA挿入変異系統を対象とし,カマレキシン生合成欠損株のスクリーニングを実施した.カマレキシン生合成欠損を示した変異体のT-DNA挿入遺伝子は,野生株において病原体感染や硝酸銀等により顕著に発現誘導された.またGUSレポーターアッセイの結果,病原体感染部位での転写調節因子遺伝子の組織特異的遺伝子発現が明らかとなった.
本発表では転写調節因子遺伝子のホルモン応答性や,転写調節因子が制御する病害応答性遺伝子についても報告する.
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© 2010 日本植物生理学会
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