日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナにおける二つのMYB遺伝子同時過剰発現による遺伝子発現及びフラボノイド蓄積の効果
*中林 亮榊原 圭子松田 史生峠 隆之北島 満里子高山 廣光山崎 真巳斉藤 和季
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p. 0868

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抄録
シロイヌナズナにおいて、アントシアニン及びフラボノール生合成はMYB75/PAP1及びMYB12によって制御されている。フラボノイド生合成機構を理解する上で、これらの過剰発現体(pap1-D及びMYB12OX)は生合成遺伝子及び代謝物の解明を可能とした。そこで二つのMYB遺伝子同時過剰発現体(WOX1-1, 2)(1)を作出し、フラボノイド過剰蓄積に関する植物体内の生理現象の誘導を試みた。Col-0、MYB12OX、pap1-D、WOX1-1, 2の5系統についてメタボローム及びトランスクリプトームの統合解析を行った結果、WOX1-1, 2においてMYB12OXのフラボノール量とpap1-Dのアントシアニン量の加算的な過剰蓄積がなされていた。一方、遺伝子発現においてはWOX1特異的に発現誘導を受けているストレス応答関連遺伝子が認められた。ストレス実験(NaCl及びmethyl viologen)を行った結果、pap1-D及びWOX1-1, 2が両ストレスに耐性を示した。本結果はストレス応答研究におけるストレス応答段階のフラボノイド蓄積、抗酸化化合物過剰蓄積に起因するフィードフォワードな二次的な影響を分類する上で、有効な結果であると考えられる。

(1) Nakabayashi R, et al., (2009) Phytochemistry, 70: 1017-1029
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© 2010 日本植物生理学会
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