抄録
植物中で合成されるフロフラン型リグナンには,ヒトの健康維持に有効な生理作用を持つものがあり,健康食品として需要がある.当グループでは,リグナン代謝経路改変植物によるフロフラン型リグナンの効率的な生産を目指している.本研究では,フロフラン型リグナンを蓄積するように代謝経路を改変したシロイヌナズナ中のリグナンプロファイリングを行うことで,その代謝改変がシロイヌナズナのリグナン代謝経路に及ぼす影響を明らかにし,フロフラン型リグナンの効率的な生産に繋がる知見を得ることを目的とした.ゴマ由来フロフラン型リグナン代謝酵素である CYP81Q1 を導入した代謝改変株において野生株では検出されなかったフロフラン型リグナンが検出され,さらに,その量はピノレジノール/ラリシレジノール還元酵素 PLR のノックダウンによって増加した.以上の結果から,シロイヌナズナのリグナン代謝の改変により目的とするフロフラン型リグナンを蓄積させることが可能であることが明らかになった.