日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのグリセロール-3-リン酸輸送体ホモログ破壊株の解析
*遠藤 雄治佐久間 輝明大西 純一是枝 晋
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p. 0880

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抄録
真核生物ゲノムには、大腸菌グリセロール-3-リン酸輸送体(G3PP)のホモログが広く保存されている。大腸菌のG3PPは、内膜上でグリセロール-3-リン酸(G3P)と無機リン酸の対向輸送を行うものである。シロイヌナズナゲノムにはG3PPホモログ遺伝子が5つ(AtG3PP1 AtG3PP5 )存在しており、マイクロアレイデータベースGENEVESTIGATORによると、AtG3PP AtG3PP4 の発現が塩ストレス、浸透圧ストレス、低温ストレスで顕著に上昇する。我々は、T-DNA挿入変異株g3pp4 は、塩ストレス条件下で発芽率が低下したり発芽時期が遅れたりすることから、AtG3PP4 がストレス耐性に関わっている可能性があると考えている(佐久間ら、日本植物生理学会2008年大会)。
本研究ではg3pp4 変異株についてさらに詳しい解析を行った。その結果、g3pp4 変異株は300 mMマンニトールによる浸透圧ストレスでも、発芽率の低下や発芽時期の遅れが観察された。さらにg3pp4 変異株の種子は野生株に比べ重量が約21%減少しており、貯蔵脂質量が低下している可能性が示唆された。一方、AtG3PP3 のT-DNA挿入変異株g3pp3 については上記のような表現型は見られなかった。以上のことから、AtG3PP4 がストレス耐性や脂質代謝に関わっていると考え、解析を進めている。
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© 2010 日本植物生理学会
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