日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネK+/Na+輸送体OsHKTの耐塩性機構における機能解析
*森田 重人丹波 奈津美丸山 雅充福岡 あぐり堀江 智明菅原 満男矢内 純太増村 威宏田中 國介荻原 保成佐藤 茂仲山 英樹新名 惇彦
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p. 0921

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抄録
植物は塩ストレス条件下で、細胞内に流入したNa +により障害を受ける。これに対し、原形質膜上のK+輸送系のK+/Na+選択性を高めることが、塩ストレスへの適応に重要であると考えられている。K+/Na+輸送体であるHKT(High-affinity K+ Transporter)はK+の取込みやNa+の取込み・排出に働いており、植物の耐塩性に関わっている。本研究では、HKTによるK+取込みと耐塩性の関連を解明することを目的として、HKT過剰発現形質転換イネの作出と解析を行った。イネに存在する8種類のHKTのうち、OsHKT2;2はK+-Na+共輸送体であり、Na+輸送体OsHKT2;1の変異体であるOsHKT2;1S88GはK+輸送体であることがこれまでに酵母発現系の実験で示されている。これらのHKTをそれぞれ導入した形質転換イネを作出し、それらの低K+高Na+条件における生育を調査した。また地上部のK+含量、Na+含量を測定し、K+/Na+比を求めた。その結果、OsHKT2;2系統とOsHKT2;1S88G系統でコントロールに比べ、相対生長とK+/Na+比が高かった。以上の結果からOsHKT2;2とOsHKT2;1S88Gが高Na+条件でK+取込みに機能し、耐塩性に寄与していることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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