日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC6803の2種類のチオレドキシン還元経路破壊株で特異的に酸化されるタンパク質の同定
*畠山 和佳子小林 真理久堀 徹
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p. 0924

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抄録
チオレドキシン(Trx)は、生物に普遍的に存在している蛋白質で、細胞内の酸化還元状態に応じて下流の蛋白質に還元力を供給している。シアノバクテリアは2種類のTrx還元経路を持ち、それぞれNADPH-Trx還元酵素(NTR)、Fd-Trx還元酵素(FTR)を用いている。Synechocystisの6803株では、NTR破壊株とFTR破壊株の酸化ストレス感受性の違いからNTR経路が主に酸化ストレスに対して重要な役割を担っていることは分かっていたが、各々の還元経路から電子を受け取るTrxの制御下にある蛋白質はまだ明らかになっていない。私達は、蛍光二次元電気泳動法によって野生株と各破壊株の蛋白質の酸化状態を比較した。実験では、細胞を破砕すると同時にフリーのSH基を修飾し、その後、酸化状態にあったジスルフィドのみを蛍光で検出する方法を用いた。フィコシアニンの自家蛍光が強いため、その周辺に分布する蛋白質の酸化状態を比較することはできなかったが、還元経路の破壊によって酸化状態に置かれている複数の特徴的な蛋白質を検出することができた。また、Trxシステムによって調節を受けている蛋白質を比較するため、各株の発現蛋白質が酸化ストレスの有無でどのように変わるかを調べた。これらの方法で同定できた蛋白質の結果や含有色素量などの結果を合わせて、各々の還元経路の役割分担を考察する。
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© 2010 日本植物生理学会
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