日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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植物のオゾン応答に関わる転写因子の探索
*永利 友佳理光田 展隆久保 明弘佐治 光高木 優
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p. 0927

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抄録
オゾンは光化学オキシダントの主要成分であり、その強い酸化力により植物に光合成や生長の阻害などの重大な被害をもたらす。現在、大気汚染物質の中でもオゾンは最も広範囲に及ぶ地域で植物に影響を及ぼしており、今後地球温暖化に伴ってその濃度が世界各地で上昇することも予想されている。従って、植物のオゾン被害の対策、作物の品種改良や大気のモニタリングにおいて、植物のオゾンに対する応答機構の解明は重要である。これまでに、オゾンは植物の活性酸素ストレスや植物ホルモンのシグナル伝達を介したプログラム細胞死を誘導することが報告されている。また、近年のトランスクリプトーム解析等の研究により、その仕組みの一部が明らかにされつつある。しかしながら、植物のオゾン応答機構は複雑であり未だ不明な点も多い。本研究では、オゾン応答に関わる転写因子を同定することを目的として、シロイヌナズナの転写因子CRES-T形質転換植物ライブラリーの中からオゾン感受性が野生株と異なる植物をスクリーニングした。CRES-T法とは、任意の転写因子に転写抑制ペプチドを融合したキメラリプレッサーを植物体内で発現させることにより、目的の転写因子だけでなく機能重複する内在性の転写因子も効率的に抑制することができる技術である。これまでに、オゾン耐性変異株を複数個体得ており、同定した転写因子のオゾン応答機構における役割について考察する。
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© 2010 日本植物生理学会
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