日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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X線CTによるイネ一次根における通気組織の可視化
坂東 理史*唐原 一郎須藤 宇道玉置 大介上杉 健太朗山内 大輔峰雪 芳宣
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p. 0928

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抄録
湿地性植物は、根に通気組織と呼ばれる細胞間のスペースを発達させることで、地上部からのガス供給を行う。通気組織形成過程の解明は植物の嫌気応答のしくみを明らかにする上で重要なテーマであるが、通気組織は細胞間隙であるため、通気組織そのものを蛍光色素等の生体染色により可視化しその発達を経時的に追跡することは困難である。本研究では、放射光施設SPring-8のビームラインBL20B2を使ってX線CT撮影を行い、イネ(Oryza sativa L. ssp. japonica cv. Nipponbare)の一次根における通気組織の非破壊的な観察を試みた。
筆者らは、根の側面を寒天で挟んで2方向から異なる処理を施し、マンニトール処理区側と対照区側との間で組織の発達を比較する実験系を用い、X線CT観察を試みた結果、マンニトール側において、通気組織が発達していることが確認され,通気組織の観察にX線CT撮影および3Dモデルによる視覚化は非常に有効であることが示された。次に、ポリスチレンチューブ内に作製した培地で根を生長させることで、根を取り出さずにX線CT観察を行うことを可能とした。この方法を用いることで、破生通気間隙形成の開始部から基部にかけて通気組織の三次元的なつながりを捉えるとともに,その全体像をほぼ丸ごと捉えることに成功した。
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© 2010 日本植物生理学会
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