日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネにおけるグリコゲニングルコシルトランスフェラーゼ発現とデンプン含量との関係
*Eltayeb Amin ElsadigYanHua QiEltayeb Habora Mohamed Elsadig古林 加奈子増村 威宏田中 淨
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p. 0932

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抄録
デンプンは植物の炭素貯蔵の最も重要な化学形態である。酵母や動物でグリコーゲン合成の開始反応について十分に解明されてきたが、植物におけるデンプン合成の開始反応の機作はまだ未解決なままである。私たちは冠水耐性野生イネFR13Aを冠水処理することで誘導される遺伝子として、動物のグリコーゲン合成開始酵素グリコゲニングルコシルトランスフェラーゼと相同性の高いOsGGTを発見した。日本晴品種においてOsGGTの昼夜の発現様式はデンプン合成のそれと強く関連していた。GGT変異体系統でOsGGTの発現を抑制するとデンプン含量の明確な減少を示した。OsGGTを過剰発現した形質転換イネは野生型イネと比べて、1.3倍のデンプン含量を示した。さらに、完全冠水2日後に、OsGGT過剰発現イネは冠水前のデンプン含量の61%を維持したのに対し、野生型イネでは34%しか維持できなかった。これらの結果はOsGGTがイネにおけるデンプン合成開始に関わるタンパク質である可能性を示唆し、その過剰発現はイネのデンプン合成を高め、冠水耐性を高めるための新しい研究戦略であることを示す。
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© 2010 日本植物生理学会
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