日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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花色の多様性を生み出すアントシアニンの修飾機構
*小関 良宏佐々木 伸大松葉 由紀阿部 裕
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p. S0015

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抄録
花色をつかさどる色素の中で、植物界にもっとも広く分布し、多様な花色を生み出しているのはアントシアニンである。その分子種は多様な花色を反映するように、今までに報告されたものだけでも 1,000 種を超えるにもかかわらず、その基本骨格であるアグリコンは 6 種類である。この分子種の多様性は 6 種類のアグリコンが糖や有機酸でどのように修飾されるかによって生み出されており、花色の改変という応用の上においても、どのような機構で修飾がなされるのかを解明することが現在の課題となっている。糖および有機酸による修飾は細胞内で UDP-糖および有機酸-CoA を供与体として細胞質内の酵素によって行われると考えられてきた。しかし、近年、有機酸による修飾が細胞質内ではなく液胞内で有機酸-グルコースを供与体として起こることが明らかにされた。また我々のグループは、これまで UDP-糖を供与体としてアントシアニンに対する配糖化酵素活性の検出を行ってきたが、カーネーションにおける 5 位の配糖化およびデルフィニウムなどに見られる 7 位の配糖化酵素活性は検出されなかった。そこでカーネーション花弁から糖供与体の探索を行い、これを単離・精製することに成功した。さらにこれを用いて、その配糖化酵素の精製と遺伝子の単離を行った。本講演においては、これらの知見をまとめて新たなアントシアニンの修飾機構について紹介する。
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© 2010 日本植物生理学会
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