抄録
SUMO (Small Ubiquitin-like Modifier)は14kDaからなるタンパク質で、E1, E2, E3タンパク質によって基質タンパク質に結合する。真核生物におけるSUMO化修飾で、様々なタンパク質の機能調節が行われていることが明らかになりつつある。例えば、転写因子の活性調節、クロマチン再構築、核内局在の調節などである。植物においてもSUMO化機構が存在し、我々はシロイヌナズナにおけるSUMO E3 ligase (SIZ1)を同定した。siz1変異株を用いた研究からSIZ1を介したSUMO化は植物においてリン酸欠乏応答、低温、アブシジン酸、熱ストレス応答に重要な役割を果たすことが分かった。このうち低温ストレス下では低温耐性に重要な転写因子ICE1をSUMO化することにより、またアブシジン酸シグナルをABI5のSUMO化によって調節していることが明らかになった。今回のシンポジウムでは、植物SUMO化による環境ストレス応答機構の分子学的な研究について紹介する。