日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ転写因子キメラリプレッサー過剰発現イネ系統の網羅的表現型解析
*石塚 徹瀧口 裕子安田 奈保美佐藤 和人松井 恭子槌田(間山) 智子飯田(岡田) 恵子堀川 明彦市川 裕章光田 展隆高木 優
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p. 0002

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抄録

転写因子は、その支配下にある遺伝子の働きを調整し、多様な生体機能を制御する。それゆえ個々の転写因子の機能を解明することは、生体機能と遺伝子発現との関係を明確にし、遺伝子の応用利用を可能にするものである。しかし植物では、機能重複する転写因子が複数存在することから、個々の転写因子の機能を解明することが困難であった。そこで我々のグループでは、転写因子の機能重複を克服して機能欠損の表現型を起こさせる遺伝子サイレンシング技術(CRES-T法)を開発し、これまでに双子葉植物のモデル植物であるシロイヌナズナにおいて様々な転写因子の機能を解明してきた。
本研究では、このCRES-T法を単子葉植物のモデル植物であるイネに適用し、完全長cDNAクローンを用いて作製した形質転換ベクターから各種転写因子キメラリプレッサー過剰発現(TF-OR)イネ系統群を作出し、これらの生育全期間において網羅的に表現型の解析を行っている。その結果、現在までにbZIP、Myb、NACなど9ファミリー、312種類の形質転換イネの再分化植物体を作出し、その特定のTF-ORイネ系統群から矮性、多分げつ、病斑形成、開花不全などの異常形質が見出された。本発表ではこれまでに観察された興味深い表現型について報告し、さらにイネに先駆けて進められたシロイヌナズナで得られている結果との比較による包括的な転写因子研究について紹介する。

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© 2011 日本植物生理学会
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