日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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アフリカ栽培イネ(Oryza glaberrima)のゲノム配列決定と配列比較解析
*伊藤 剛坂井 寛章田中 剛伊川 浩司沼 寿隆松本 隆佐々木 卓治
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p. 0003

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抄録

アフリカ西部では、アジア起源のO. sativaとは異なる種であるO. glaberrimaが栽培化されており、世界的な食糧問題を考える上でその研究の重要性は高い。我々はO. glaberrima IRGC104038のゲノム配列を、まずメチル化フィルトレーション法で遺伝子領域を濃縮し、全ゲノムショットガン法で決定した。その結果、日本型アジア栽培イネのO. sativaである日本晴の18%に相当するゲノム領域と、日本晴に存在しない12 Mbの塩基配列を決定できた。このゲノム配列をO. sativaと比較し、系統特異的なアミノ酸置換やスプライス部位の変化を明らかにした。また、今後の品種改良で有用情報になると考えられるSSRについて、日本型(日本晴)、インド型(93-11)と比較し、2451のSSRを同定したところ、1568のSSRについて、3ゲノムのいずれかで長さの変化が見られた。また、タンパク質コード領域と非転写領域で長さの変化がある3塩基重複型のSSRの数に有意な差は見られなかったことから、3塩基重複型のSSRに関してはタンパク質コード領域内でも進化的制約が弱いということが示唆された。本研究で得られたO. glaberrimaのゲノム情報や解析データについては、BLAST等の検索機能を備えた専用のデータベースを構築している。

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© 2011 日本植物生理学会
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