日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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インベルターゼのプラスチドシグナリングへの関与
*丸田 隆典磯田 桃子橋本 ゆみこ大鳥 久美多淵 知樹田茂井 政宏重岡 成
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p. 0021

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抄録
ショ糖高感受性シロイヌナズナ変異株として単離したプラスチド型インベルターゼ(INV-E)の機能獲得型変異株であるsicy-192では、ショ糖添加培地において、光合成系および窒素同化系遺伝子群の発現がそれぞれ抑制および誘導されていたことから、INV-Eは炭素/窒素(C/N)バランス制御に関与することが示された(J. Biol. Chem., 2010)。これまでに、核コードの光合成系遺伝子の発現はプラスチド遺伝子発現(PGE)を発端としたプラスチドから核への逆行性シグナリング(プラスチドシグナリング)により制御されることが知られている。そこで、sicy-192におけるPGEやプラスチドシグナリングに関与する遺伝子群の発現について調べた。
ショ糖添加培地のsicy-192において、プラスチドコードRNAポリメラーゼ(PEP)の下流遺伝子の発現が特異的に抑制された。また、プラスチドシグナリングに関与する転写因子、GLK1およびGLK2の発現はsicy-192において顕著に抑制されていた。よって、INV-EはPGEを発端としたプラスチドシグナリングを介して、C/Nバランスを制御することが示唆された。現在、ショ糖処理時のPGEや核コード遺伝子発現に及ぼす影響について、野生株、sicy-192およびINV-E遺伝子破壊株を用いて解析している。
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© 2011 日本植物生理学会
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