日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ACTドメインを有する新規プロテインキナーゼ様タンパク質1(OsACTPK1)遺伝子破壊イネの根におけるアンモニウ吸収・同化
*谷合 彰子澤 勇己小原 実広吉成 晃小島 創一山谷 知行早川 俊彦
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p. 0020

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抄録
NH4+供給後のイネ幼植物根では、数種のNH4+吸収・同化系遺伝子の発現制御に関わるGlnまたはその代謝産物を介した情報伝達系の存在が示唆されるが、その分子機構は不明である。イネOsACTPK族(OsACTPK1-6)は、シロイヌナズナSer/Thr/Tyrプロテインキナーゼ(AtSTYPK)ホモログであり、かつ、微生物GlnセンサーGlnDのGln感知に重要なACTドメインと相同なドメインを有する。特に、イネ幼植物根では、日毎のNH4+供給の都度、OsACTPK1 mRNA蓄積量が累積した。本研究では、OsACTPK1のGln情報伝達系への関与を検討する第一歩として、低濃度から充足濃度のNH4+供給下で栽培したTos17挿入OsACTPK1破壊イネ変異体群幼植物の表現型を解析した。この際、OsACTPK1上にTos17が挿入されていない分離系統群を比較対照とした。OsACTPK1破壊変異体群では、NH4+供給充足条件下において、根の伸長抑制と地上部の生育の促進及び全窒素・全遊離アミノ酸含量の増加が有意に認められた。また、根の15NH4+吸収速度解析から、高親和性NH4+輸送機構のVmax値が約2倍に増加していることが明らかになった。以上の結果から、NH4+供給充足下のイネ幼植物根において、OsACTPK1が少なくともNH4+吸収を負に制御する可能性が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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