日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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重複遺伝子群AtLURE1による花粉管誘引メカニズムの解明
*武内 秀憲東山 哲也
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p. 0024

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抄録

被子植物の生殖過程において、精細胞を運ぶ花粉管が卵細胞を含む胚珠組織まで導かれるために、花粉管ガイダンスは必須のメカニズムである。この花粉管ガイダンスは、同種の花粉管を精確に導く仕組みであるが、それを担う分子的実体は長年の間不明であった。このような中、当研究室のトレニアという被子植物を用いた解析により、卵細胞の隣に位置する助細胞から分泌されるTfLUREsが花粉管誘引物質の実体として同定された。
しかしながら、花粉管誘引物質の普遍性や雌しべの中での機能だけでなく、同種の花粉管を優先的にガイドする仕組みについては明らかでない。本研究ではこのような疑問を明らかにするため、様々なリソースを用いることができるモデル植物シロイヌナズナにおいて花粉管誘引物質を同定し、解析を行った。これまでに、シロイヌナズナの助細胞から分泌される誘引物質群AtLURE1を同定し、雌しべの中で精確なガイダンスに重要な役割を果たしていることを明らかにした。興味深いことに、AtLURE1をコードする遺伝子群はゲノム内でタンデムに重複しており、それらは動的に変化し得る可能性も示唆された。シロイヌナズナ誘引物質の同定に至った詳細な機能解析に加え、誘引物質の分子進化についての考察も交えて紹介したい。

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© 2011 日本植物生理学会
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