日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ライブイメージングで明らかにした重複受精における配偶体細胞のダイナミクス
*浜村 有希齊藤 知恵子金岡 雅浩佐々木 成江中野 明彦東山 哲也
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p. 0025

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抄録
重複受精は被子植物に特有の受精機構である。2つの精細胞は花粉管に運ばれ、一方が卵細胞と受精して胚を、もう一方が中央細胞と受精して栄養組織である胚乳を形成する。近年、配偶体細胞の融合に関わる因子が単離されたが、2つの精細胞の受精相手など、重複受精における2つの精細胞の挙動は依然として明らかでない。
我々は、2色4次元共焦点顕微鏡と配偶体特異的蛍光タンパク質マーカーを用い、132例の重複受精のライブイメージングに成功した。これより、精細胞は、花粉管から雌性配偶体まで最高10 μm/秒の速さで、およそ20秒で運ばれていることが分かった。卵細胞の受精に要した時間は平均8.4 ± 4.1 分で、中央細胞の受精に要した時間は平均8.5 ± 3.1 分 (n = 44) であり、2つの受精の順は決まっていないことがわかった。さらに、2つの精細胞の受精相手が、花粉管内であらかじめ決まっているか着目した。2つの同型精細胞の区別には、蛍光変換タンパク質mKikGRを用いた。花粉管の先端側に位置した一方の精細胞を蛍光変換したとき、この精細胞が卵細胞と受精した例が11例、中央細胞と受精した例が10例で、どちらにも同程度に受精していた。したがって精細胞の受精相手は花粉管内であらかじめ決まっておらず、放出された後に雌性配偶体との相互作用によって決まる可能性が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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