日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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開花直前のつぼみの花糸で特異的な発現を示すシロイヌナズナDAD1遺伝子のプロモーター解析
*川瀬 敦嗣中野 加奈子境 あゆち杉浦 明香石井 礼子村田 聡子中村 研三石黒 澄衞
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p. 0043

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抄録
ジャスモン酸(JA)は傷害・病害などに対する抵抗反応や細胞の老化を引き起こす植物ホルモンであるが、シロイヌナズナなどでは「開花」ホルモン、すなわち成熟したつぼみの花弁や雄しべに作用してその伸長を促進し、つぼみを開花させるホルモンとして働くこともわかっている。JAは成熟したつぼみの中では雄しべに最も多く含まれていることや、JA生合成酵素の遺伝子の多くが雄しべの花糸で強い発現を示すことから、花糸におけるJA生合成遺伝子の発現誘導が開花を誘導するスイッチとして働いているものと推定される。我々はJA生合成経路の最初の段階で働くリパーゼをコードする遺伝子としてシロイヌナズナのDEFECTIVE IN ANTHER DEHISCENCE1 (DAD1) を同定し、この遺伝子の発現がJA生合成の誘導すなわち開花の誘導に非常に重要であることを明らかにしてきた。しかし、DAD1遺伝子が成熟したつぼみで花糸特異的に発現するしくみについては、まだよくわかっていない。そこで、この発現を制御するプロモーター上の転写制御領域の同定を目的として研究を行った。DAD1遺伝子の5’側上流領域をさまざまに欠失させてGUSレポーター遺伝子に連結し、開花時における花糸でのGUS発現を指標にして転写制御領域を解析した。その結果、49bpの領域を花糸特異的発現に必要なエレメントとして同定することができた。
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© 2011 日本植物生理学会
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