日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのポレンコートタンパク質EXL4/6とGRP17のタペート細胞での局在部位と花粉表面への移行およびその機能の解明
*恒川 苑実鈴木 俊哉佐々 路佳肥塚 千恵今村 順中村 研三石黒 澄衞
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p. 0042

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抄録
ポレンコートは脂質とタンパク質に富んだ粘着性の物質で、柱頭による同種・異種花粉の認識や柱頭上での吸水と発芽など、花粉が受精に至るさまざまな過程で重要な働きを持つと考えられている。シロイヌナズナのポレンコートに多量に存在するタンパク質EXTRACELLULAR LIPASE4/6(EXL4/6)とGLYCINE-RICH PROTEIN17(GRP17)は、欠損させると花粉稔性が低下することから、柱頭による認識から吸水発芽までのいずれかの段階で重要な働きをしていると推定される。ポレンコートのタンパク質は、脂質とともにタペート細胞で生合成され、タペート細胞内の小器官に蓄積したのち、タペート細胞の崩壊に伴って葯室に放出され、ポレンコートとして花粉表面に沈着する。オレオシンドメインを持つGRP17は、タペートソームと呼ばれる脂質蓄積性オルガネラに局在することが知られているが、EXL4/6の細胞内局在部位はまだ同定されていない。そこで、EXL4にGFPを連結させてシロイヌナズナとナタネのタペート細胞で発現させ、どのオルガネラに存在しているかを解析した。また、EXL4/6の持つリパーゼ活性が花粉稔性に必要であるかどうかについても解析を進めた。一方、GRP17-GFPを発現するナタネのタペート細胞から、GFP抗体と磁気ビーズを用いてタペートソームを単離する方法を考案したので、併せて報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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