日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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根の発生におけるRab5活性化の役割
*井上 丈司近藤 侑貴内田 和歌奈中野 明彦上田 貴志
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p. 0046

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抄録
Rab GTPaseは,GTP結合型とGDP結合型をサイクルする分子スイッチとして,細胞内膜交通において小胞の標的膜への繋留と膜融合を制御している.中でもRab5は,エンドサイトーシス経路で膜融合やエンドソーム動態の制御など,多様な機能を担うことが動物において明らかにされている.植物においては,近年,PINタンパク質の細胞膜上での偏在やブラシノステロイドのシグナル伝達などへのエンドサイトーシスの関与が明らかになり,その分子機構や機能に関する研究が盛んにおこなわれている.その過程で,植物のRab5もエンドサイトーシス経路で機能することが示されてきたが,器官,個体レベルにおける機能はほぼ未解明のままであった.シロイヌナズナVPS9aは,3つのシロイヌナズナRab5(ARA6, ARA7, RHA1)を活性化する事実上唯一の活性化因子である.Rab5が植物の発生において果たす役割を明らかにするため,VPS9aの機能が部分的に欠失したvps9a-2変異体の表現型を解析した.その結果,根における,ラジアルパターン形成,静止中心および周囲の幹細胞群における分裂分化制御遺伝子の発現,それらの細胞のidentityの維持,オーキシンの濃度勾配の形成,PINタンパク質の偏在,細胞伸長といった根の発生における多様な局面において,Rab5の活性化が重要な役割を果たすことが示された.
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© 2011 日本植物生理学会
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