日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナMIR166cおよびMIR166d過剰発現体の解析
*橋本 佳世中澤 美紀松井 南奈良 久美
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p. 0055

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抄録
microRNAであるmiR165/166のターゲットは,メリステム形成や器官極性の決定・維管束発達などに大きく寄与するclass?VHD-ZIP転写因子である.HD-ZIP?VはmiR165/166によって緻密に発現量が調節されており,この制御経路が崩れると,極度の形態異常や機能欠損などが引き起こされる.シロイヌナズナにはMIR166a~gの7遺伝子が存在し,全て同じ21ntのmiRNAを産生する.これらは1塩基違いのmiR165と共にHD-ZIP?Vの転写後調節に関わると考えられている.本研究においてアクチベーションタギング系統より変異体の選抜を行ったところ,形態に極めて異常がみられるD10系統が単離された.D10系統は全体的に矮性で,花序・葉序に乱れがあり,花茎が帯化した.また,花器官においても異常が認められ,自家受粉が稀にしか行われない不稔の形質を示した.D10系統には35Sエンハンサーを含むT-DNAがMIR166cMIR166dの間の一か所に挿入されており,RT-PCRの結果,これらのmiRNA前駆体が過剰発現していることが明らかになった.また,D10系統におけるmiR166と5つのHD-ZIP?V遺伝子の発現パターンも野生型とは異なっていた.これらの発現とD10系統の形態異常との相関について考察する.
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© 2011 日本植物生理学会
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