日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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天然に存在するCLAVATA2の多様な変異はHsp90型分子シャペロンSHEPHERDの働きで機能的に回復することができるのか?
*丹羽 智子中村 研三石黒 澄衞
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p. 0056

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抄録
タンパク質の高次構造を変化させる突然変異は、多くの場合、そのタンパク質の機能を低下させるため、淘汰されるものである。しかし、そのような変異が生じたタンパク質の中には、分子シャペロンHsp90の助けにより、変異による高次構造変化を回復して正常に機能することで、変異の存在を隠し、淘汰されることなく維持されているものも存在する、とする仮説がRutherfoldとLindquistによって提唱されている。
我々は、シロイヌナズナの小胞体型Hsp90であるSHEPHERD (SHD)とCLAVATA2 (CLV2)の関係に着目し、(1)Ws系統由来のCLV2 (CLV2Ws)は1つのアミノ酸置換が原因で、SHD存在時にのみ機能できる、(2)in vitroでの実験より、CLV2はSHDに結合する標的タンパク質である、ということをこれまでに明らかにしてきた。これより、有害な変異が生じたCLV2Wsの高次構造形成をSHDが助けている、つまりSHDとCLV2の関係こそ、上記の仮説に当てはまる例の1つであると考えている。
なお、シロイヌナズナの系統間においてCLV2には多くのアミノ酸置換が蓄積しているため、CLV2Ws以外にも、有害な変異を保持しつつもSHDに依存して正常に機能できているCLV2の存在も考えられる。そこで、多様なCLV2のSHD依存性について解析したので、その結果を報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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