日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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細胞膜ドメインに局在する新規微小管付随タンパク質MIDD1による表層微小管と二次細胞壁のパターン制御
*小田 祥久福田 裕穂
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p. 0067

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抄録
表層微小管は、セルロース微繊維が沈着する部位と方向を制御することによって、細胞壁の構造を制御している。道管分化において形成される様々な二次細胞壁のパターンはどのようにして実現されているのであろうか。本研究では、独自に開発した後生木部道管の分化誘導系を用い、新規微小管付随タンパク質MIDD1(Microtubule Depletion Domain 1)が細胞膜ドメインにアンカーされ、局所的に表層微小管に作用することによって、二次細胞壁に壁孔を作り出すことを見出した。後生木部道管の分化過程において、表層微小管は局所的に消失し、その領域が壁孔となる。RNAi法によってMIDD1の発現を抑制した結果、表層微小管の消失が抑制され、壁孔を失った一様な二次細胞壁が形成された。一方、間期においてMIDD1を過剰に発現させたところ、間期表層微小管の密度が低下した。MIDD1は二つのコイルドコイルドメインから成るタンパク質であり、片方が微小管への結合に、もう片方が細胞膜ドメインへのアンカーに必要であることが分かった。両ドメインを含む全長MIDD1は、脱重合している微小管のプラス端に蓄積し、微小管のレスキューを抑制した。これらの結果は、細胞膜上の空間情報に基づき局所的に表層微小管のダイナミクスを制御することによって、二次細胞壁パターンが構築されることを示唆している。
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© 2011 日本植物生理学会
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