日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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葉緑体形成におけるシロイヌナズナRelA/SpoT ホモログの機能解析
*前川 未来翔水澤 一樹太田 啓之増田 真二
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p. 0080

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抄録
葉緑体は、光合成を始めアミノ酸合成や脂質合成などを行なう重要な器官である。そのため、葉緑体の環境ストレス適応は、植物の生存にとって必須である。バクテリアは、セカンドメッセンジャーであるppGpp(グアノシン4リン酸)の量を制御することで自身の転写・翻訳を調節し、栄養飢餓などの環境ストレスに適応している。大腸菌ではRelAおよびSpoTタンパク質がppGppの合成・分解を行なっている。近年、植物においてRelA/SpoTの相同タンパク質RSH(RelA/SpoT Homologs)が同定された。また、ppGppが葉緑体に存在することが明らかになった。これらのことから、葉緑体においてもppGppを介したバクテリア型の環境応答機構が存在すると考えられる。しかし、その具体的な機能は分かっていない。シロイヌナズナには4つのRSHホモログ(RSH1,RSH2,RSH3,CRSH)が存在する。私達は、これら4つの遺伝子の欠損体や過剰発現体を解析しているが、ここではRSH3の解析を中心に報告する。RSH3の過剰発現体(rsh2rsh3 二重欠損体バックグランド)はペールグリーンの表現型を示し、葉緑体が委縮していた。また、その過剰発現体では葉緑体の転写産物がWTに比べ減少していた。それらの結果から、RSHがppGppを介して葉緑体の形成や機能を制御していることが示唆された。その制御機構を議論する。
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© 2011 日本植物生理学会
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