抄録
細胞内の膜交通システムにおいて、輸送小胞と標的オルガネラ膜の融合を制御するSNARE分子の中に、輸送小胞膜に局在するR-SNAREがある。R-SNAREは、アミノ末端にlongin domain と呼ばれる領域を持つlonginと、それ持たないbrevinに大別され、陸上植物のR-SNAREは全てlonginであることが知られている(SEC22、YKT6、VAMP7のグループが存在する)。シロイヌナズナゲノムには18個のlonginがコードされており、そのうち12個がVAMP7に分類される。我々は、VAMP7の機能分化が植物細胞における細胞内輸送経路の多様化に関与しているのではないかと考え、VAMP714というタンパク質に注目して解析を行った。シロイヌナズナVAMP7は、さらにVAMP71とVAMP72の2種類に分類され、VAMP71の多くが液胞膜に局在するのに対し、VAMP714のみがゴルジ体に局在することが,シロイヌナズナ培養細胞での一過的発現解析により示されている。本大会では、シロイヌナズナVAMP714と陸上植物の様々な系統から単離したVAMP714ホモログの詳細な細胞内局在解析の結果を報告するとともに、VAMP714がどのような細胞内輸送経路に関与しているのかについて、進化細胞生物学的な視点から議論したい。