日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ゼニゴケVAMP72スプライシングバリアントの機能解析
*藤本 優丸山 桃子海老根 一生井坂 奈々子植村 知博石崎 公庸大和 勝幸河内 孝之中野 明彦上田 貴志
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p. 0108

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抄録

SNAREは膜交通経路において膜融合の実行を担う分子であり,その構造上の特徴から,Qa-,Qb-,Qc-,R-SNAREの4種に分類される.このうち陸上植物で著しい多様化が見られるR-SNARE,VAMP7ファミリーは,VAMP71とVAMP72という二つのサブグループで構成されている.VAMP72グループの中にはさらに,アミノ末端側のLonginドメインに約20アミノ酸残基からなる酸性配列が挿入された特徴的な分子種が存在する.当研究室ではこれまでに、シロイヌナズナの酸性挿入配列を持つVAMP72分子,VAMP727が,エンドソームを中心としたポストゴルジ輸送経路で機能することや,挿入配列がエンドソームへの局在や液胞におけるSNARE複合体の形成に必須であることを明らかにしている.この挿入配列を持つVAMP72分子は,これまで種子植物に特有のものと考えられていた.しかし,最近コケ植物苔類ゼニゴケにも類似の分子が存在していることが明らかとなり,その解析から,この挿入配列がオルタナティブスプライシングに由来することが新たに判明した.現在,このオルタナティブスプライシングが,陸上植物におけるVAMP72の進化において果たした役割を解明すべく研究を進めている.本講演では,これらゼニゴケVAMP72スプライシングバリアントの細胞内局在やそれらが機能する輸送経路について解析した結果を報告する.

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© 2011 日本植物生理学会
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