日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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葉緑体型NADPH加水分解酵素(AtNUDX19)の植物ホルモンを介したストレス応答への関与
池本 圭輔向井 春香丸田 隆典石川 和也*吉村 和也重岡 成
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p. 0121

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抄録
これまでに我々は、シロイヌナズナの葉緑体型NADPH加水分解酵素(AtNUDX19)は、光環境順応における光合成能や抗酸化能の制御に機能していることを明らかにした。このことから、葉緑体内NADPHレベルもしくはレドックス状態がシグナルとして、植物のストレス応答に関与している可能性が示唆された。そこで本研究では、この可能性を明らかにすることを目的として、AtNUDX19の欠損(KO-nudx19)が遺伝子発現に及ぼす影響を網羅的に解析した。
マイクロアレイ解析の結果、通常光および強光照射下において野生株と比較してKO-nudx19で発現レベルが異なる600以上の遺伝子群を同定した。興味深いことに、それらにはホルモン応答に関与する遺伝子が多く含まれていた。そこで、KO-nudx19の種々のホルモンやストレス処理に対する感受性を評価した。その結果、KO-nudx19はジャスモン酸やアブシジン酸処理に対して非感受性、傷害や浸透圧ストレスに対して高感受性を示した。さらに、KO-nudx19はサリチル酸処理に対して高感受性を示した。以上より、AtNUDX19によるNADPH代謝の制御はホルモンを介したストレス応答に関与することが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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