日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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細菌由来因子による植物の生長制御機構
*村田 純小村 啓
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p. 0135

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抄録
一般に土壌細菌は、土1gあたり108-9程度存在する。従って植物にとって、根の伸長過程において多種多様な細菌と遭遇することは、避けて通れない。ところが、植物と土壌細菌との相互作用に関するこれまでの研究は、植物と根粒菌、また菌根菌との相利共生、あるいは病原菌による寄生に限定的で、大多数の土壌細菌と植物との関係については不明な点が多い。一方で、植物の生長を促進する活性を持つ、Plant Growth Promoting Rhizobacteria(PGPR)と総称される土壌細菌が近年市販されている。しかしPGPRによる植物の生長促進にかかわるPGPR側または植物側の因子は殆ど明らかになっていない。そこで我々は、PGPRに分類される枯草菌とシロイヌナズナあるいはイネを共培養し、枯草菌が植物の生長に与える影響について生理学的検証を試みた。その結果、予想に反して枯草菌が根の伸長を抑制しうることを見出した。この植物根の伸長抑制活性は枯草菌が直に接触せずとも観察され、また枯草菌の培養条件により変動した。さらに、類似の生長抑制はアグロバクテリウムを用いた場合においても観察された。以上より、本現象は植物―土壌細菌に広く保存された一般的な現象である可能性が高いと考えている。
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© 2011 日本植物生理学会
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