日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナにおけるフラボノイド生合成経路の非生物学的ストレス緩和能
*中林 亮榊原 圭子浦野 薫松田 史生小嶋 美紀子榊原 均篠崎 一雄峠 隆之山崎 真巳斉藤 和季
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p. 0139

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抄録
本研究では、MYB12及びPAP1/MYB75の過剰発現体(MYB12OX、pap1-D)及びそれらを掛け合わせて作出した二つのMYB遺伝子同時過剰発現体(WOX1-1、WOX1-2)を用いてメタボロミクス及びトランスクリプトミクスによる統合解析を行い、フラボノイド生合成機構に密接に関連する生理現象の解明を目指している。
統合解析を行った結果、これらフラボノイド関連転写因子過剰発現体では野生型Col-0に比べてフラボノイド特有の過剰蓄積及びストレス応答に関連する遺伝子の発現誘導がなされていることが明らかとなった。ストレス応答関連遺伝子の発現に関与するアブシジン酸量は、Col-0と過剰発現体間で顕著な差が見られなかった。このことからフラボノイド生合成経路はストレス応答機構と密接な関わりがあること、またフラボノイド生合成経路の誘導はストレス耐性を向上させることが示唆された。そこで非生物学的ストレス(乾燥、塩及び酸化ストレス)実験を行った結果、これら過剰発現体は有意なストレス耐性の向上を示した。
フラボノイドは植物ストレスを緩和する抗酸化活性を有する。本結果は、ストレス応答研究におけるストレス応答段階のフラボノイド蓄積及び抗酸化化合物過剰蓄積に起因するフィードフォワードな二次的な影響を分類する上で、有効な結果であると考えられる。
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© 2011 日本植物生理学会
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