日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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みどりの香り化合物を曝露したトマトの配糖体合成とトマト害虫・ハスモンヨトウ抵抗性
*杉本 貢一松井 健二小澤 理香飯島 陽子赤壁 善彦秋武 翔太佐々木 亮介青木 考柴田 大輔高林 純示
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p. 0150

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抄録
植食害虫の被害を受けた植物からは健全植物とは異なるブレンドの揮発性化合物が放散される。この揮発性化合物ブレンドは、植食害虫の天敵を誘引する間接防衛シグナルや周囲の健全植物に防衛準備を誘導する植物間シグナルとして働くことが知られている。我々は植物-植物間におけるシグナル伝達現象を分子・物質レベルで明らかにする目的で、トマト植物とその害虫であるハスモンヨトウを用いた実験を行っている。
これまで、被食害植物から放散される揮発性化合物ブレンドに曝露された健全トマトを食害したハスモンヨトウはコントロールトマトを食害したものに比べて体重の増加量が有意に抑制されることを報告しており、植物間シグナル伝達によって健全トマトがハスモンヨトウ抵抗性を誘導したと考えられた。食害抵抗性の原因を明らかにするため、揮発性化合物ブレンドに曝露された植物の代謝物を一斉分析したところ、みどりの香りの1種であるヘキセノールの配糖体が有意に蓄積していることが明らかになった。健全トマトはヘキセノールの単一曝露のみでも配糖体を蓄積し、ハスモンヨトウへの抵抗性を誘導することから、ヘキセノール配糖体がハスモンヨトウ抵抗性に関与する化合物であると考えられた。現在、配糖体化合物を単離・精製しその構造を明らかにするとともに、抵抗性発現メカニズムについて詳細に調査している。
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© 2011 日本植物生理学会
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