日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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phosphoribulokinaseの分子進化から視た光合成カルビンサイクルの起源
*河野 卓成メヒロートラ サンディア横田 明穂蘆田 弘樹
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p. 0160

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抄録
生物進化においてカルビンサイクルはラン藻で完成したと考えられてきた。カルビンサイクルでは11酵素が働いているが、RuBisCO、phosphoribulokinase (PRK)はこの回路特異的酵素である。原始ラン藻Gloeobacter violaceusは、典型的なラン藻PRK遺伝子prk1に加え、2つのPRKホモログ遺伝子prk23を有している。大腸菌リコンビナントタンパク質を用いた解析の結果、PRK1は200 μmol/min/mg (Km(Ru5P) = 0.28 mM)、PRK3は23.5 μmol/min/mg (Km(Ru5P) = 5 mM)のPRK活性を示したが、PRK2は全く活性を示さなかった。系統樹においてPRK3はMethanospirillum hungateiなどのメタン産生古細菌PRKホモログと共にPRK1と独立したクレードを形成した。解析の結果、M. hungatei PRKは29.3 μmol/min/mg (Km(Ru5P) = 0.21 mM)のPRK活性を示したことから、古細菌型PRKの存在が明らかになった。これまで古細菌においてカルビンサイクルの存在は報告されていないが、本研究結果とM. hungateiがRuBisCOホモログを有することから、この古細菌で原始的なカルビンサイクルが機能していると予想された。
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© 2011 日本植物生理学会
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