日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ブラシノステロイド情報伝達突然変異体bss1と隣接遺伝子BIL6の機能解析
*嶋田 勢津子小松 知之中澤 美紀松井 南川出 洋安部 浩夏目 雅裕中野 明彦浅見 忠男中野 雄司
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p. 0215

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抄録
植物ステロイドホルモンであるブラシノステロイド(BR)の情報伝達機構の解明を目指し、暗所、BR生合成阻害剤Brz存在下での胚軸徒長を指標として、Arabidopsisのアクチベーションタグラインより胚軸短化を示すBrz高感受性変異体bss1(Brz-sensitive-short1) を単離した。bss1では、タグ挿入部位の前後の遺伝子の発現上昇が観察され、下流側遺伝子の高発現体が胚軸短化を再現したことから、この遺伝子をbss1変異原因遺伝子と同定した。BSS1-GFPは蛋白質凝集体と予想されるドット状の蛍光として細胞質、核に観察され、Brzによる凝集促進、BL添加による拡散化の傾向が認められた。またBSS1欠損変異体ではBrz耐性が観察され、BSS1はBR情報伝達の抑制因子である事が示唆された。さらに、Y2H解析によりBRシグナルの転写因子であるBIL1/BZR1と結合する事が示された。
一方、タグの上流遺伝子の高発現体は、暗所Brz存在下で胚軸徒長するbil形態を示し、成熟個体は細矮性の形態を示したことから、この遺伝子をBIL6と命名した。BIL6高発現体において、BR応答遺伝子の発現上昇が見られた事から、BIL6はBR情報伝達の促進因子である事が示唆された。これらの隣接遺伝子がBRシグナル伝達において正負の逆の制御機構を持つ可能性を考え、解析を進めている。
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© 2011 日本植物生理学会
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