日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒメツリガネゴケにおけるPpAN遺伝子の発現部位及び遺伝子破壊系を用いた機能解析
*宮島 兼佑橋田 芳和武智 克彰樋口 智文沖田 友美山本 慈恵滝尾 進塚谷 裕一高野 博嘉
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p. 0220

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抄録
シロイヌナズナのANGUSTIFOLIA (AN)は、葉の細胞の横方向への極性伸長を制御していると考えられている。ANは動物の発生に重要なCtBP/BARSのホモログだがCtBP/BARSには存在しない植物特有の約200アミノ酸のC末端配列をもつ。我々は、全ゲノム配列が決定されているセン類ヒメツリガネゴケにおいて、AN相同遺伝子PpAN1-1、1-2と、植物特有のC末端領域を持たないPpAN2-1、 2-2を見出した。プロモーターGUS解析の結果、PpAN1-1および、PpAN1-2では茎葉体の茎の中心に、PpAN2-1およびPpAN2-2では茎葉体の茎の中心と葉の基部に強いGUS発現が見られた。どの遺伝子においても原糸体よりも茎葉体のほうに強いGUS発現が見られ、これらの結果はノーザン解析の結果と一致していた。4つのPpAN遺伝子について、薬剤耐性遺伝子を挿入した単一遺伝子破壊ライン、二重遺伝子破壊ライン(ppan1-1/1-2、ppan2-1/2-2)を作成した。ppan1-1/1-2において原糸体の幅と茎葉体の葉の幅を計測したが、野生型との差は見られなかった。ppan1-1/1-2の茎葉体の横断切片を観察した結果、野生型と比べて細胞同士の隙間に別の細胞が入り込んでいる様子が多く見られた。現在、茎の伸長に異常が出ているのではないかと考え、詳細な変異形質を解析中である。
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© 2011 日本植物生理学会
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