日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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紡錘体の方向制御におけるアクチン繊維パターンの役割
*湖城 恵桧垣 匠朽名 夏麿安原 裕紀馳澤 盛一郎
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p. 0219

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抄録
細胞分裂期の表層アクチン繊維は、actin microfilament twin peaks (MFTP) と呼ばれる将来の分裂面を谷とする1対のアクチン繊維の局在ピークを形成する。GFP-ABD2によりアクチン繊維を可視化したタバコBY-2の形質転換細胞にアクチン束化誘導剤であるTIBAおよびJasplakinolide (Jasp) を処理すると、表層および紡錘体周囲のアクチン繊維パターンが変化し、紡錘体および細胞板が著しく傾斜したことから、細胞分裂期におけるアクチン繊維パターンは紡錘体の向きを制御する可能性が示唆された (湖城ら、第51回本学会年会) 。本研究では、表層アクチン繊維の詳細な局在とアクチン繊維パターンの紡錘体制御機構を明らかにするため、細胞周期各期における細胞膜および液胞膜近傍のアクチン繊維量をGFP-ABD2蛍光輝度に基づき定量評価した。その結果、TIBAおよびJasp処理による表層アクチン繊維パターンの変化は主に細胞膜近傍で起こることを見出した。また、蛍光色素FM4-64染色により紡錘体周囲の液胞膜構造の観察を行なったところ、紡錘体周囲のアクチン繊維パターンの変化に伴って紡錘体周囲の液胞膜構造が単純化した。以上の結果から、紡錘体の牽引に細胞膜近傍のアクチン繊維が足場として関与するとともに液胞膜構造の形成が紡錘体の向きの制御に重要である可能性が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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