日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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気孔開閉運動の力学シミュレーションと細胞内構造の動態解析
*桧垣 匠秋田 佳恵近藤 矩朗朽名 夏麿馳澤 盛一郎
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p. 0225

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抄録
私たちはこれまでに各種細胞内構造が蛍光標識されたシロイヌナズナ孔辺細胞の顕微鏡画像を多数取得し,細胞形状の正規化と輝度の加算平均を介した顕微鏡画像解析によって気孔開口に伴って細胞連結部でアクチン繊維とエンドソームの量が増加すること,逆に小胞体は減少することを報告した(2010年日本植物生理学会年会、桧垣ら).本研究では,まずGFP-PIP2aにより細胞膜が可視化された形質転換株を用いて,気孔開閉時における細胞膜構造を孔辺細胞の連結部を立体的に観察した.その結果,気孔開口に伴って隙間が狭まることが判り,細胞連結部で力学的な負荷が生じている可能性が示唆された.そこで,細胞形態の実測値に基づいたシロイヌナズナ孔辺細胞の二次元構造モデルを設計し,有限要素法による力学シミュレーションを実施した.孔辺細胞モデルの部材に関する力学的パラメタおよび拘束箇所の条件を複数検討した結果,気孔開口を模す変位を示す条件において細胞連結部に強い応力が生じることを見出した.現在,微小針を用いて顕微鏡下で片側の孔辺細胞を切除する実験系を構築しつつあり,孔辺細胞の力学的負荷を人為的に変動させた状況において細胞内構造の動態を追跡する予定である.本発表では孔辺細胞の力学応答として細胞内構造の分布が変化する可能性と意義について議論する.
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© 2011 日本植物生理学会
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