日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ葉表皮細胞の形態形成における細胞内微細構造の電子顕微鏡解析
*秋田 佳恵桧垣 匠小林 恵永田 典子上田 貴志朽名 夏麿馳澤 盛一郎
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p. 0224

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抄録
多くの双子葉植物の葉表皮細胞はジグゾーパズルのように複雑な形状をとるが、その形態形成過程に関しては未解明の部分も多い。私たちはゴルジ体トランス層膜に局在するSialyl Transferase(ST)に蛍光タンパク質mRFPを融合したタンパク質ST-mRFPを発現するシロイヌナズナの葉表皮組織において、ST-mRFPがゴルジ体トランス層の他に、アポプラストに局在することを見出した。さらに、このアポプラスト局在は細胞の成熟に伴って、表皮細胞では湾曲部に、孔辺細胞では細胞端部において顕著であることから、多胞体などの細胞内構造を介し細胞質成分をアポプラストへ輸送する経路が、葉の表皮細胞の形態形成に関与する可能性が示唆された(2010年本学会年会、秋田ら)。本研究ではライブイメージングにより示唆された、アポプラストへの膜交通に関わる微細構造を捉えるため、透過型電子顕微鏡を用いて細胞内微細構造を観察した。その結果、野生株において葉の成熟段階初期に多数の細胞質由来と思われる小胞状構造がアポプラストに存在することを見出した。このアポプラストに存在する小胞状構造は多胞体などの細胞内構造を介して輸送された可能性が考えられる。本発表では、最新の結果と併せて小胞状構造の由来と意義に関して議論したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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