抄録
26Sプロテアソームは数十のサブユニットからなる巨大なプロテアーゼであり、生体内の不要となったタンパク質を能動的に分解することによって、様々な生命現象の制御に機能している。26Sプロテアソームを構成する数十のサブユニットタンパク質は、それぞれ個別の機能をもっている。高等植物では、さらに、サブユニットが重複を持つ。当研究室ではこれまでに、AtRPT2a欠損変異体が、エンドリデュプリケーションの過剰促進による器官の巨大化を示すことを報告した。一方、パラログ分子であるAtRPT2b欠損変異体はこのような巨大化を示さない(Plant J. 60: 68, 2009)。このことより、シロイヌナズナ26Sプロテアソームは、サブユニットの機能分化のみならず、パラログ間においても機能の多様性を持つことが示唆された。
本研究では、rpt2a変異体において、外生遺伝子の発現抑制が生じることを明らかとした。これは、外生遺伝子のプロモーター領域における過剰なメチル化が要因であった。一方、rpt2b変異体はこうしたサイレンシングを示さない。RPT2aによるメチル化制御機構および、パラログ間の機能分化について議論したい。