日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

ソライロアサガオの模様に係わるエピジェネティクス
*星野 敦朴 慶一崔 丁斗飯田 滋
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0235

詳細
抄録

生物の模様には、しばしばエピジェネティクスが関与する。ソライロアサガオのpearly-vは「刷毛目絞り」と呼ばれる模様の花を咲かせる自然突然変異である。我々は、pearly-vがアントシアニン色素生合成系のDFR-B遺伝子の上流にDNA型トランスポゾンが挿入した変異であることを見いだした。花の絞り模様は、トランスポゾンの転移による体細胞変異が遺伝子発現を変化させて生じることが知られている。しかし、pearly-v遺伝子座に挿入されたトランスポゾンは安定で転移は確認できず、刷毛目絞りの形成に体細胞変異は関与していなかった。そこでpearly-v遺伝子座のDNAメチル化を調べたところ、DFR-B遺伝子のプロモーター領域内の特定の配列が花弁の非着色細胞では特異的にメチル化されているが、着色細胞では低メチル化状態にあることを見いだした。以上の結果は、刷毛目絞りもエピジェネティクスが関与する現象であり、体細胞レベルでの高頻度なDNAメチル化の変化がDFR-B遺伝子の発現を制御して生じることを強く示唆している。

著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top