日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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新規ヒストン修飾酵素によるFLOWERING LOCUS C遺伝子のエピジェネティックな転写活性化機構の解明
*玉田 洋介Yun Jae-YoungKang Ye EunWoo Seung chul増田 典子Amasino Richard M.
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p. 0240

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抄録
冬季一年生シロイヌナズナにおける開花の春化要求性は、FRIGIDA (FRI) による花成抑制因子FLOWERING LOCUS C (FLC) の転写活性化によって確立される。FRIによるFLCの転写活性化にはヒストンH3の4番目のリシン残基 (H3K4) のメチル化が不可欠である。FLC遺伝子座におけるH3K4メチル化は、出芽酵母Set1クラスに属するARABIDOPSIS TRITHORAX-RELATED7 (ATXR7) を含む複数のメチル化酵素によって触媒されることが知られている。今回、さらに我々は新規クラスに属するヒストンメチル化酵素ATXR3がFLC遺伝子座におけるH3K4のメチル化に機能することを明らかにした。まず、atxr3突然変異体の冬季一年生シロイヌナズナは早咲きの表現型を示した。この表現型は、FLC遺伝子座におけるH3K4メチル化量の低下を伴ったFLC発現量の減少によって引き起こされていることを明らかにした。さらに、既知のヒストンメチル化酵素とATXR3との関係を調べるためatxr3 atxr7二重突然変異体を作出した。その結果、早咲きの表現型に関してatxr3atxr7にエピスタティックであった。以上の結果から、新規のヒストンメチル化酵素ATXR3はATXR7と協調しながらFLCの転写活性化に機能していることを解明した。
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© 2011 日本植物生理学会
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