日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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アジサイにおけるアルミニウム輸送に関わる遺伝子の機能解析
*根岸 孝至大島 健志朗服部 正平吉田 久美
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p. 0255

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抄録
青色系統の花のほとんどはアントシアニンに由来する。中性から弱酸性の花弁液胞内で真の青色を発色するには、2価、3価の金属イオンとアントシアニンとが錯体形成することが必要である。我々は最近、チューリップ花弁の青色部分から液胞膜型鉄イオントランスポーターを見いだした。しかし、金属イオンの液胞内への輸送とそれに続く花色発現の機構については、未だ不明なことが多い。アジサイは、アルミニウムイオンが青色発現に必須であることがわかっているが、アルミニウムの細胞内へ、そして、液胞への輸送に関わる遺伝子は全く同定されていない。そこで、花が青くなる現象の分子メカニズムを明らかにすべく、アジサイの液胞へのアルミニウムイオン輸送に関わる遺伝子の単離を目的に研究を行なった。アジサイガク片cDNAライブラリーのうち、約12000の遺伝子の配列を読み、マイクロアレイを作製した。配列情報から予測される局在と機能から液胞膜トランスポーター候補を選び出し、酵母アルミニウム感受性株により機能を確認した。その結果、液胞膜のアルミニウムトランスポーターを同定することができた。さらに、細胞膜に局在するアルミニウムトランスポーター遺伝子候補を選び出し、酵母による解析からその輸送機能を持つ遺伝子を同定することができた。これにより、ガク片でのアルミニウムの細胞への取り込み、それに続く液胞への隔離に関わる遺伝子を同定することができた。
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© 2011 日本植物生理学会
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