抄録
亜鉛は植物の生育に必須な微量栄養元素であり、多くの酵素が機能する上で重要な役割を持つ。しかしながら、細胞内における亜鉛濃度が高まると、植物はクロロシスや根の伸長阻害などの成育阻害を受ける。このことから、細胞は亜鉛濃度を一定に保つための恒常性維持機構を持っている。
本研究では、過剰亜鉛に対する初期応答機構の解明を目的とし、iTRAQ解析法による定量プロテオーム解析を行った。本実験にはシロイヌナズナ野生型Col-0を用いた。Col-0はMS培地に300μM亜鉛が含まれるときに顕著な成育阻害を示すため、この条件を過剰量亜鉛濃度とした。MS培地で成育したCol-0の根に300 μM亜鉛溶液を0,3,6,16時間処理し、それぞれマイクロソーム画分を単離し、iTRAQ解析に用いた。この結果、ABC輸送体PDR8やSNAREタンパク質SYP122などが時間依存的に増加した。さらに免疫沈降実験ではPDR8とSYP122が相互作用すること、SYP122-GFPシロイヌナズナ形質転換体の根に亜鉛処理するとGFP蛍光が細胞膜上で強くなることなどを確認している。本発表では、プロテオーム解析により得られた結果に生化学的、細胞生物学的実験結果を加えて議論する。