日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ミヤコグサにおける亜鉛集積の系統間差と関連QTLの解析
古川 純岩田 佳晃榎本 秀一*佐藤 忍
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p. 0261

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抄録
亜鉛は土壌汚染の一因であるが、動植物にとっての必須元素でもある。このため植物による環境浄化や、食品栄養価向上の対象元素として多くの研究がなされているが、その吸収・輸送機構の解明は十分ではない。本研究ではマメ科のモデル植物であり、亜鉛集積に系統間差があるミヤコグサ(Lotus japonicus)における亜鉛集積と関連QTLの解析を行った。実験にはMiyakojima、Gifuおよびそれらの組換え自殖系統を用いた。
発芽後4週における亜鉛含量を測定したところ、全ての組織で MiyakojimaよりもGifuにおいて亜鉛が蓄積されていた。Zn-65を用いたオートラジオグラフィにより植物体中の亜鉛分布を解析すると、Gifuにおいてより短時間で上位葉まで輸送されることが示された。また、地上部への亜鉛集積を指標として、約80系統の組換え自殖系統によるQTL解析を行ったところ、亜鉛集積に関わると考えられる複数のQTL領域が得られた。QTL領域の遺伝子型に特徴のある系統を選抜し、亜鉛分布を解析したところ、植物体全体で亜鉛の集積量が多い系統や、地上部へ積極的に輸送している系統が得られたことから、QTLと亜鉛分布の相関について考察する。また、マイクロアレイによる解析から、Gifuで高発現し、かつQTL領域に座乗する複数の亜鉛輸送体の相同遺伝子が得られたため、これらの亜鉛輸送活性を解析する予定である。
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© 2011 日本植物生理学会
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