日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ活性酸素種生成酵素AtrbohD, AtrbohFの活性化機構の比較解析
*木村 幸恵先崎 栄里子賀屋 秀隆朽津 和幸
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p. 0273

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抄録
植物は様々な刺激に応答してNADPHオキシダーゼを活性化させ,活性酸素種 (ROS)を積極的に生成する.シロイヌナズナNADPHオキシダーゼAtrbohDとAtrbohFは,感染防御応答やABAシグナル伝達に関与する.ヒト培養細胞を用いた異種発現解析の結果,AtrbohDとAtrbohFはCa2+結合とタンパク質リン酸化により活性化されることが明らかとなった.両者の制御機構は共通していたが,AtrbohDのROS生成能はAtrbohFより高かった.この原因を明らかにするため,ドメインスワップ解析をおこなった.AtrbohDとAtrbohFは,膜貫通領域を挟んでN末端側にCa2+結合ドメインを含む制御領域,C末端側に触媒領域をもつ.各領域間をスワップさせたキメラタンパク質をヒト培養細胞に発現させ,ROS生成活性を比較した.その結果,AtrbohFのC末端領域をAtrbohDにスワップすると活性が上昇した.このことから,AtrbohDとAtrbohFのROS生成活性を特徴づけるドメインは主にC末端側の触媒領域であることが示唆された.
次に,AtrbohFの活性化におけるCa2+とリン酸化の関係について解析した.その結果,AtrbohFのCa2+による活性化はタンパク質のリン酸化状態に依存する一方で,タンパク質リン酸化による活性化はCa2+に依存しない可能性が示唆された.
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© 2011 日本植物生理学会
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