日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ3量体Gタンパク質αサブユニットは、葉鞘の細胞数の制御において、ブラシノステロイドシグナリングの下流で機能する
*井沢 有希香野 みずき北野 英己三浦 孝太郎岩崎 行玄
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p. 0275

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抄録
イネは、動物と同様に、3量体Gタンパク質α(Gα)、β(Gβ)、γ(Gγ)サブユニットを有する。イネGα遺伝子欠損変異体d1 は、WTと比べて各器官が矮化する。昨年までに、d1の矮化の原因は細胞数の減少であることを明らかにした。つまり、Gαは細胞数を正に制御する因子と考えられた。幼苗期のWTとd1 に、7つの植物ホルモンを投与したところ、d1 はブラシノライド(24-epi BL)に対する応答が低下していた。一方、ブラシノステロイド(BR)受容体は、細胞数と細胞長を正に制御すると考えられている。本年度は、d1-1d61-2(BR受容体変異体)との2重変異体を用いて、両シグナリングが、細胞数の制御に共通したパスウエイを利用しているか否かを検討した。
葉鞘において、d1-1d61-2 の組織長は相乗的に減少した。この結果は、両シグナリングは独立している可能性を示唆した。しかしながら、d1-1d61-2 の細胞数は、d1-1 と同じであった。この結果は、葉鞘の細胞数の制御に関しては、d1-1d61-2 の下流に位置することを示した。現在、節間、外頴に関しても、細胞数に関して、同様の上位性が認められるか否かの解析を進めている。
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© 2011 日本植物生理学会
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