日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ABCトランスポーター AtWBC27の塩およびABAシグナル伝達における役割
*灘本 俊
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p. 0284

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抄録
塩応答を支配する遺伝子を見いだすため,シロイヌナズナ脱分化細胞にアクティベーション・タギングを適用し,塩耐性カルス [salt tolerant callus (stc)] 変異系統を選抜した (植物生理学会年会, 2007; 2009). 150~200 mM NaClに耐性の18 種類のstc系統のうち,stc5に注目した.stc5においては,アクティベーションのためのT-DNAが染色体の3箇所に挿入されていることをTAIL-PCRにより明らかにした.これらのうち,ABCトランスポーターの1種である AtWBC27をコードする遺伝子は,stc5カルスにおいて,野生系統に比べて塩ストレスなしで約2倍,塩ストレス下で約4倍高く発現していることをリアル・タイム PCRにより見いだした.AtWBC27 (以後WBC27) の欠損変異系統は,NaCl以外にKCl,KNO3やLiClに対しても,高い感受性を示した.さらに,これらの欠損変異系統は,ABAに対しても感受性が高く,WBC27による塩耐性は,ABAシグナルと連動している可能性が示唆された. WBC27の塩耐性における機能を明らかにするために,WBC27の強制発現系統を作製している.塩ストレスおよびABA応答シグナル伝達ネットワークにおいて,WBC27 がどのような役割を演じているかに興味が持たれる.
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© 2011 日本植物生理学会
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